べるくんの「グリッドマン ユニバース」備忘録

 ネタバレも含みます。

 

 3月で刑期を終えてせっかく釈放されたのに、釈放された先にもまともな映画館がなくて結局実家に帰るタイミングまで映画をお預けされていたべるくんです。今日は平日ですが、不思議な力を使ってグリッドマンユニバースを見てきました。本当は土曜日に帰省のついでに見るつもりだったんですが、なんか応援上映しかやってなくてしゃーなし断念しました。だって初見を応援上映で見るのメリットなさすぎだもん。

 

 グリッドマンユニバースはSSSS.GRIDMANおよびSSSS.DYNAZENONの続編であり集大成であり完結編にあたる劇場版で、やはりテレビ版の出来が良かっただけに今回も100点満点のものを期待していったが、100点満点中100000000億点くらいのものが返ってきてしまった。なんというかSSSS.GRIDMANでやり残したこととSSSS.DYNAZENONでやり残したことを完璧にやり遂げ、さらにストーリーは今まであやふやだった両者の関係をしっかり繋げるものにしつつ、壮大なそれでいて無理のない素晴らしいものだったと思う。あとこの終わり方であれば、十二分に続編の制作が期待できることも非常に嬉しい。綺麗に終わってくれた作品は終わりを惜しみはすれど続きが見たいとはあまり思わないものな気がするけど、この映画は終わりでもあり、裕太と六花、蓬と夢芽、グリッドマンやアンチくんやガウマさんにとってはこれが始まりに過ぎないのであって、彼らの今後の活躍をもっと見続けたいと強く思った。最悪ユニバースの中の別の世界の話でもいいよ、もうこの監督に間違いはないから。まだグリッドマンユニバースを見ていない方、今すぐSSSS.GRIDMANとSSSS.DYNAZENONを視聴してから劇場へ足を運んでください。絶対に後悔しません。

 

SSSS.GRIDMANでやり残したこと

 やはり今回の映画の主軸にもなっている「裕太と六花の恋の行方」に尽きるだろう。思えばグリッドマンが裕太に憑依できたのも裕太の恋心が原因だったわけで、グリッドマンと恋愛要素は切っても切り離せない関係にある。映画は裕太が六花に告白しようと思っていることを内海に相談するシーンから始まったが、内海には今更かと咎められることになる。それもそのはずで、テレビ版でグリッドマンと一体化して戦っていた裕太は本物の裕太ではなく、グリッドマンの意識が入り込むことによって新たに生まれた言わば別人格だった(※)ため、本物の裕太からしてみれば「ある朝起きたらそれまで片思いであまり話したこともなかった好きな女の子とめちゃくちゃ仲良くなっていた」という意味不明状況なわけで、気持ちの整理がついていなかったのも無理はないと考えられる。仮にテレビ版のあと裕太がすぐに告白していて六花がOKしていたとしても、その六花の気持ちは裕太であって裕太でない存在に向けられたものになっていただろう。これは映画の最終盤のシーンでも言及されていて、映画で本物の裕太が頑張る姿を見たからこそ、六花は裕太を好きになることができたのだと思う。あの告白のシーンは今思い返してもニヤニヤしてしまいますね。(※ここは解釈の余地あり。僕は最初は記憶を失くしたグリッドマンだけの意識だと思っていたのだが、それだと一体化した後も裕太とグリッドマンが会話することに理由が付かない気がするため、憑依の際に生まれた新たな人格と考えるのが自然な気がする。)

 どっちつかずな裕太と六花に対し、蓬と夢芽という幸せカップルの存在は良い刺激になっていたと思う。蓬と夢芽が醸し出すラブラブオーラに、裕太は少なからず背中を押されたところがあるんじゃないだろうか。

 あとテレビ版から引きずっていたことと言えば、グリッドマンが裕太に対してずっと引け目を感じていたことはかなり驚いた。ヒーローの中でもとりわけウルトラシリーズの戦士たちはどこか高次元な存在に感じてしまうので、グリッドマンが裕太の2か月間を奪ってしまったことをずっと気にしていてしかもそれを利用されて今回の大騒動が引き起こされたと思うと、なんだよグリッドマン可愛いとこあるじゃんなんて思ってしまった。今まで遠い存在に感じていたグリッドマンが近くに感じられて僕はとても良いと思った。

 

SSSS.DYNAZENONでやり残したこと

 これは結構多い。やはりグリッドマンと違ってダイナゼノンは最初から映画まで含めて完成とするつもりだったのだろう。まずガウマと蓬たちの再会は、もう最初から涙が溢れそうになってしまった。そもそもアシストウェポンとしてガウマさんが登場した時から、普通に味方として生きてくれていたことが嬉しかった。これみんな共感してくれると思うんですけど、CMとかの映画の予告で一瞬聞こえるガウマさんの声がめちゃくちゃ悪役声だから「もしや悪役……?」と思わされたんですよね、完全に制作側の策略に嵌められた。それでそこからトントン拍子でダイナゼノン組が集合して、特に大きなすれ違いも無駄な正体隠しとかもなく順当に再会を喜び合ってくれたのがとても良かった。

 テレビ版の最後で結ばれていた蓬と夢芽は、初登場シーンからラブラブ度合いがヤバかった。夢芽ってこんな明るい子だったっけとも思ったんだけど、あとでパンフレットを読んだら「つらい過去を乗り越えて蓬と過ごすうちに表情が豊かになった」的なことが書かれていて大納得した。やっぱり恋は人を強くするんだよな。夢芽が六花に関係を問われた際に恥じらいもなくはっきりと付き合っていると答えたことや、随所で裕太と六花にカップルとしてマウントを取っていた(語弊)ことからも、この恋に多大なる自信があることを感じられてとても良かった。ガウマの残した謎の北海道産本タラバガニを一緒に食べよう家族なんだからと言って2人で真っ赤になっているシーンが最高だった。僕は虚構の高校生カップルが将来別れるかどうかがわかる特殊能力を持っているんだけど、蓬と夢芽は間違いなく生涯を添い遂げることになるでしょう、おめでとうございます。

 やり残したことというか僕は正直このシーンの必要性がよくわからなかったんだけど、ガウマと姫様の再会シーンはかなり浮いて感じられた。映画だしガウマの心残りさえも消化してしまおうと入れられたシーンだったのだろうか。姫が陽気すぎて僕の思い描いていた姫像とかけ離れていたのも違和感の一因かもしれない。僕が気付いていないだけでちゃんと意味のあるシーンだった可能性もある(てかきっとそうな)ので、見返す際には注意して見るようにしたい。

 

 最後に、グリッドマンユニバースで個人的に熱かったシーンランキングを発表して終わりとしたい。

 

第3位「グリッドマン(Universe Fighter)への変身」

 劇場版の限定フォームチェンジと言えば特撮ではお決まりだが、やはりこの展開はどう転んでも熱い。偶然みんなで描いていたグリッドマンの絵がキーになったのも熱い。正直言うとあの絵のくだりは今後伏線になるだろうなというのが見え見えだったけど、最後に不死の敵を倒したビームが、映画序盤で裕太がやってしまった消しゴムによる紙の破壊を伏線としたものだったところは鳥肌がヤバかった。シナリオが天才すぎる。

 

第2位「グリッドマンとアレクシスの共闘」

 ばか熱い。シナリオの天才さにも程がある。アカネが六花たちのピンチを助けに来てくれるだけでも神展開なのに、アカネがアレクシスを使役して共闘、さらにそのアレクシスとグリッドマンが背中を合わせて共闘するなんていう展開が訪れようとは2018年の僕は微塵も想像できなかった。稲田徹のシュワッがまたいいんだわ。

 

第1位「蓬のインスタンス・ドミネーション」

 ダイナゼノンの記憶が薄れていたため蓬がこれできることを忘れていたというのもあるが、あの絶体絶命のピンチで最後に見出した希望の一手があまりにも熱すぎて、初見の時は(良い意味で)頭を抱えてしまった。